5年か6年前に行ってconta680手前で天候が悪化して下ってしまった留知暑寒別川の雄冬山直登沢ですが、積雪期なら雄冬山に行きたいと言う方がいても夏期にしかも留知暑寒別川を聞いた事も無い方が多く、おまけにあの短さの沢で最低沢中一泊、ひょっとしたら二泊必要と話したら一緒に行きたいと言う方は皆無でしたが、増毛山道総会の時にSQさんに声をかけた所、行きましょうと言う事になり、SQさん、さっちゃんと三人で行って来ました。
一日目は半日歩いて魚止めの滝(地形図の留と知の中間付近)でCP
直登沢までは30分しかかからないし、直登沢に入ってしまうとピークまでテントを張れる場所はないと思うので良いのだ。
尾根を挟んだ隣の暑寒別川と似たキレイな渓相が続く
二日目、出合いから何と事も無い直登沢を歩いていると本当に函、ゴルジュなんてあるのって感じですが、conta650くらいから函になり函滝の連曝帯に突入。
↑最初の函滝(下降時に撮影)
↑三つめの滝
函滝は10m未満の高さのないモノばかりだが全て深い釜を持っていて泳いで滝に取り付いても滝自体ヌメリ気味&ホールドが少なく多くは低く高巻く。
巻くにしても両岸は立っている岩に土が乗った上にイタドリやウドが生えているだけなので、三番手となるとズルズル&ブッシュは折れていて結構しんどい。
下降点の見極めが難しく、野性的なSQさんの感が発揮されるのであった。
↑こんな感じで上まで続いている。
寿都幌別川をコンパクトにした感じか、知来岳滝ノ沢右股の函滝の数を倍以上にして悪さも倍以上にした感じが近いかな?
予定は詰めは850m、900mの二股を右でピークでしたが、下の二股が地形図で読むほど顕著でなく読図が難しい。
で、結局間違って850mの二股を左へ入ってしまう。
↑850m左股の滝。
この沢最大の滝で上部の傾斜の落ちたナメ部分も入れると35mくらいはあるかな。
この二股までが第一の核心部で、僅か1キロを進むのに3時間もかかってしまった。
この上は小滝は出て来るも容易な沢になり、水が切れると直ぐにブッシュに突入。
出た所は浜益御殿との稜線上の970m付近。
標高差が200mちょっとしかなく直線距離で1キロ程度でしかも稜線上と言う事で楽勝かと思えたが、ここからが第二の核心部と言うか本当の核心部が始まる。
源頭の水が切れブッシュに突入してから延々5時間半、背丈を越える笹、ハイマツのブッシュを漕ぐ。
途中、増毛山道跡と思われる箇所もあるが、鹿道すらない稜線でやぶ漕ぎを堪能。
で、いきなりピーク。
↑右から群別岳、尾白利加、南暑寒別岳、暑寒別岳、西暑寒別岳、中の沢岳
右から浜益岳、群別岳、尾白利加
ピーク到着が5時近くだった事もあり、来た尾根、沢を戻るのは論外でピークから直登沢出合いまで伸びる尾根をヤブ漕ぎで降りようかの案もあったが、結局、ピーク泊。
こんな事は想定してなかったので、行動食、僅かな水に雨具のみ貧相なビバーク。
まさにフォーストビバークだったが、夏だし晴れてるし、風はほとんど無いしで一晩くらいどってことないでしょう。
夏とは言え、夜中は寒いぞゴルァでしたが、三角点(実際には見つかりませんでしたが)を枕に星空を見ながらウトウトと朝まで過ごす。
で、朝。
5時から行動する。
登って来た沢を下降するのは時間がかかるので、直登沢出合いまで伸びる尾根をヤブ漕ぎで降りる事にする。
最初は笹が低く楽勝ムードだったが、直ぐに背丈を超える笹に突入し、だんだん右方向に引っ張られ、結局沢に降りてしまった。
降りた所が本来登る予定だった右股だった。
と言う事で直登沢を周遊。
テントを撤収して暗くなると同時に林道着。
昨日は11時間、今日は13時間行動で疲れました。
SQさんや僕は慣れているが、セレブで温室育ちで、こんな沢登り、山登りが初めてのさっちゃんは弱音を一言も吐かず遅れる事無く歩き通して立派でした。
ヌピナイも全然問題なしかな。
↑ご機嫌なねぇさん
僕は昨年の5月の浜益御殿以来の登山で、北広島に越して来てから沢登りは10回弱行っていますが、どれも沢登りと言うよりは沢遊び、水遊び程度のとこばかりで、行く前はちょっと心配はありましたが、SQさんと言う強力なメンバーもいた事もあり、久々の本当の沢登りを堪能できました。
日帰りの沢登りも、それなりに楽しいが、やはり沢登りは泊まり装備を担いで遡行するのが一番合っていると思う。
今年はもう沢登りはいいかな。
増毛山塊の沢は支流を除けばほとんど入っていますが、雄冬山の直登沢は一番難しいと思います。
留知暑寒別川に関しては遡行記録は殆どありませんし、ましてや雄冬山の直登沢に関しては皆無で過去に北稜クラブが登りに行って天候などの理由だったと思いますが、そのまま本流をつめて千代志別川に降りた記録しかなく、唯一つの情報は僕が5年か6年前に核心部をちょっと登っただけの物だけでしたが、未知の沢はワクワクします。
それにこたえる様な登りごたえのある良い沢でした。
ゴミテープなど人の痕跡どころか熊の痕跡すら一切ない沢でもありました。
ちなみに地元山岳会ではこの直登沢を「小函の沢」と呼称しています。
将来的に増毛山道の岩老分岐から幌まで刈り分けができると、今回僕らが登りに使ったルートからピークを踏み、そのまま山道を降りて千代志別乗り越しから留知暑寒別川に降りるプランを使えばもう少し楽になるのかな。